Hiroshi Kosako (以下小佐古さん)は、現在カナダ、タイなど世界各国に法人やビジネスの拠点を持つ実業家です。また、2016年に膵臓癌が見つかり、カナダで合法化されている医療大麻で克服した、”癌明け当事者”様でもあります。
「命拾いして2つ目のLIFEを貰った私。この先は日本人向け”医療ツーリズム”普及推進に捧げたい」
と話す小佐古さんの事業にかける思い、現在サービスを始動しているプロジェクトについて伺いました。
カナダをはじめとする海外を拠点に水産業を営む
私は、長年水産業を生業とし、ロブスターの生産に携わってきました。販売先はUS、EU、Asisと世界中に販売していますが 日本マーケットへの供給も業界全体の70%のシェアを保っています。ロブスターの漁獲先は世界各国に展開しており、カナダ、パナマ、ニカラグア、ホンジュラス、ジャマイカ、ベリーズ、コロンビア、ブラジル等北中南米近郊からインド、イエメン、マダガスカル等インド洋近辺まで、手広く携わっています。取引国の中でロブスターの生産量が多いのは、カナダが断トツです。そのようなご縁で北米大陸の水産加工の拠点はカナダと決め、現地工場を構え、ビジネスを展開しています。
働き盛りに膵臓癌を発症
私の膵臓癌は今から7年ほど前、仕事でヨーロッパを訪問時に見つかりました。膵臓は感覚がなく、病気になっても痛みを伴わない沈黙の臓器といわれています。しかし、私の癌の発見はかなり痛みを伴うものでした。
ある日、私は胃の辺りが尋常ではないほど痛む、インフェクション(激痛)を起こして全く寝れなくなりました。薬局に駆け込み、胃潰瘍の薬である”カルシウムブロッカー”をもらって静養していましたが、全然治りません。とにかくのたうち回るように激しい痛みが止まず、医師に、「効く薬をくれ!」と頼んだところ、
「この薬が効かなければ、別の臓器の疾患の可能性大。精密検査が必要です」
と言われ、その後すぐ専門病院を受診。痛みの原因は「膵炎」とわかりました。なんと、隣り合っている臓器である胃に、膵臓の悲鳴が伝わっていた、というのです。私の膵臓癌はそこで見つかりました。
胃痛を訴えて膵炎が見つかり、それが癌の発見につながるというケースは比較的稀だともいわれています。幸い、私の癌腫瘍は治療可能な段階でしたが、当時既に25mmもあり、エコー検査で容易に見つかるレベルの大きさとなっていました。医師からは4週間集中入院して様子を見ましょうといわれました。膵炎の治療は飲食が全て禁止され、点滴のみ。お水さえも口から取ることができません。医師から告げられるのは、
「とにかくひたすらジッとしていてください」
そこからはずっと、生きた心地のしない治療生活が待っています。
じっとしていることに耐えられず、藁をもすがる
人智を尽くさずにただ天命を待つ?いろんなことにチャレンジしてきた私がここに来てなにもしない??このままでは絶対治るわけない…現状維持は耐えられない…。病室で、自分自身のあり様に猛烈な違和感を覚えた私は、再びカナダに渡航して、あらゆる手を尽くす決心をしました。当時、カナダは医療用カンナビスが完全リーガライズされており、癌治療が可能なことを知っていた私は、現行の点滴漬けの療養生活に耐えながら、藁をもすがる思いでフルスペクトラムのカンナビスを毎日6時間おきに摂取し続けることを選択しました。
個人の判断で進めたカンナビス摂取でしたが、その甲斐あって痛みは自然となくなり、その後は再生科病院というところに移りました。5人の医師が日替わりで診察に来てくれましたが、検査の結果癌は全て消えているという結果が出て、無事退院に至りました。私は晴れて、”カンナビスで癌明け”を果たしたのです。癌明け後にカナダで会社を立ち上げる
命拾いをさせてもらったカナダに恩返しをするつもりで、人の役に立つビジネスに還元できないかと考えました。カンナビスの栽培に着手することを決め、徹底的にこだわって、いいものを作りたいという一心で栽培免許を取得。『クリスタルキュア』というカンナビス生産会社を設立しました。一昨年の2021年、カンナビスのブランドとしてはカナビスカップ2021においてカナダ国内で第二位に認められ、カナビスカップ2022では念願のグランプリ優勝をはたし、おかげさまでカナダで一番のブランドとして認知されるに至ったのです。カナダでの成功後、私がこのビジネスの更なる目標に「日本人の”医療ツーリズム”の認知向上、カンナビス癌治療の普及」を掲げ、活動を開始しました。「日本人が医療ツーリズムでカナダを訪れ、癌を克服」という私のようなケースは、実はほとんど前例がなく、ネガティブな幾つかの要因が行く手を阻んでいます。日本人には知名度の低さだけではなく、カナダとの時差も距離もあり、高額な渡航費用や治療費滞在費で現実問題断念せざるを得ないという、経済格差も大きく横たわります。
しかし、日本人の医療ツーリズム実現に向け、ポジティブに事実を捉え直し、可能な場所を定める、という観点で見渡してみたらどうでしょうか。少なくとも東南アジアの主要都市だったら、時差は大してなく、容易に行き来も可能なので、医療ツーリズム先としての門戸を広げられるだろう。そんなシンプルな動機で、私はタイを医療ツーリズムビジネスの候補地として選択しました。
医療ツーリズムの拠点にタイを選び、動き出した運命
2021年当時、弊社は、会社としての成長が実現できたばかりか、優秀な人材にも恵まれていました。タイに支店を作るプロジェクトを立ち上げ、マスターグロワー(大麻栽培のプロ)資格を持つ気骨のあるスタッフと共に、現地出向することができたのです。今でこそ、医療大麻解禁先進国としてひろく知られるようになったタイですが、弊社がリサーチを始めた当初は1年以上かけてじっくりマーケットを見てみないと何も始まらないという状態で、特に衒いはなかったのです。しかし、スタッフがタイ入りしたその1ヶ月後に突然「医療大麻完全解禁」というニュースが世間に流れました。その波に乗る形で、早速許可申請を進め、起業することができたのです。
タイ・サムサコーンにファームのある法人を設立
まるでカンナビスの神様に誘われるように来タイした我々の作った会社は、名前を『グリーンソリューションアジア』といいます。タイ法人として立ち上げました。カンナビスに詳しい方は既にご存知かもしれませんが、グレードの高い大麻は全てクローン栽培なので、サムサコーンにあるファームはそのファシリティを完全装備して運用しています。
タイでも稀有な、THC販売公式許可法人として
400社以上のカンナビス関係の会社があるといわれるタイにおいて、実は、THCを生成して公式販売が認められている会社というのは、タイ国内に4社のみ(✳︎2023年7月取材当時)であることは、あまり知られていません。その希少な認定社のひとつが弊社です。今回、医療コンシェルジュサービスアムールズのプロジェクトを協業しているCome on AirのCEOも、同ライセンスを保持しています。このTHC販売ライセンスというのは、通常のマリファナの栽培や販売の許可とは異なり、いわゆる”ハーブの販売”と同じ括りです。(✳︎この販売ライセンスに係る法律を相対的に捉えると、国際的な薬物統制法規に準じた、旧時代の”取り締まり目的のルール”の名残といえます。しかし、日本人の一般的な視座からこれらを理解し、それを広義の意味で伝えようとすると、ハームリダクションの観点から批判を免れません)。
✳︎ 編集部追記タイ漢方の伝統医との提携
タイのトラディショナルドクターは、ハーブを医療で扱う免許を持っていますが、その専門医師でさえも生成されたTHCのみを処方するということは基本的にありません。周知の通り、癌治療に使われる大麻由来のカナビノイドというものは、120ものフラクタルな有効成分が相互作用することで生まれる、いわゆる”アントラージュ効果”が発揮されてこその薬です。タイでの医療ツーリズム ワンストップ型サービスの骨子
医療ツーリズムの推進において、弊社は多くのタイ漢方の伝統医(タイ・トラディショナルドクター)と提携を組んでいます。患者様はかかりつけ医にプレスフィクション(診断書)をもらって、タイの同ドクターとそれを基に話し、「これだったら有効性が認められるだろう」「こういうプログラムが適切だろう」という確証が取れ次第、ブリーフィングの共有及びインフォームドコンセントの開始をします。来タイ後は必要に応じて、6ヶ月間有効な医療ビザの申請や、各種保険手続きの代行業務も弊社が請け負うことが可能です。(なお、タイの医師とはオンライン受診可能です)患者様が来タイ後の受診スキームは以下の通りです。
①診断書の内容を踏まえ、タイの専門クリニック受診
②タイのがんセンターでの精密検査を再受診。癌治療に係る全ての数字を算出
③専門クリニックに正式入院。滞在中はカンナビス投与の治療を継続投与。(必要があれば逐次同クリニックで血液検査を実施等々フレキシブルに応対)
上記は、リーガライズされたプロダクト生産販売業者と医療の有識者が、患者様の生活の質の向上にフォーカスした形でカンナビスを取り扱い、ケアにあたる、ワンストップ型サービスの骨子となります。これを軸に、患者様のニーズに即したサービスを実現することによって、QoL(生活の質)向上にフォーカスした、真の”医療大麻プログラム”が提供可能になります。弊社及び医療コンシェルジュサービス・アムールズは、国際社会で求められる”QoL の高い医療”の構築に、寄与したいと考えています。